
ラウンド・アバウト・ミッドナイト – マイルス・デイヴィス
(録音日:1955年10月26日、1956年6月5日 リリース:1957年)
深夜の都会にそっと降りてくる、ジャズの魔法!なんちゃって……..。
作品解説・コメント
マイルス・デイヴィスが、後に“黄金クインテット”と呼ばれる伝説のメンバーと初めて作り上げたスタジオ録音盤です。
ジョン・コルトレーン、レッド・ガーランド、ポール・チェンバース、フィリー・ジョー・ジョーンズ。この布陣は、ジャズ史においても特別な響きを持っています。
タイトル曲「’Round Midnight」は、静かに始まり、マイルスのミュート・トランペットが、夜の空気を切り裂くように鳴り響きます。
派手さよりも、音の“間”や“余韻”で魅せる演奏スタイルは、ジャズに馴染みのない人でも感じ取れる“深み”があります。
全体としては、ゆったりとした曲や温かみのあるバラードが多く、慌ただしい日常から少し離れて、落ち着いた時間を過ごしたい時にぴったり。
1950年代のニューヨークのナイトクラブに迷い込んだような、そんな雰囲気を味わえます。
おすすめの1曲は、やはり「’Round Midnight」。夜更けに静かに耳を傾けると、この曲の魅力がじわじわ沁みてきます。
このアルバムの契約のきっかけは、1955年のニューポート・ジャズ・フェスティバルでのマイルスの演奏に感銘を受けたColumbiaレコードのジョージ・アヴァキャンが、即座に契約を申し出たこと。
まさに“一夜が歴史を変えた”瞬間だったと聞きますが、裏話みたいなもんでしょう。
《聴きどころ》
マイルスのミュート・トランペットは、私にとって単なる音ではなく“語りかけ”のように響きます。その控えめな音量の中に、切なさや優しさ、時には鋭い緊張感まで潜んでいるようにも思えます。
一方、コルトレーンのサックスは熱く、直線的なフレーズで空気を揺らし、マイルスの静けさに対する“情熱の返答”となっています。が、この頃はまだ未熟さを感じます。
リズムセクションは言うことはありません。安定感抜群です。
特にガーランドのピアノは、温かみのある和音で曲全体を包み込みます。この静と動のバランスこそが、このアルバムの最大の魅力です。
Track list & Personal
《Track list》
1. ’Round Midnight – 5:58(Thelonious Monk, Cootie Williams, Bernie Hanighen)
2. Ah-Leu-Cha – 5:55(Charlie Parker)
3. All of You – 7:00(Cole Porter)
4. Bye Bye Blackbird – 7:55(Mort Dixon, Ray Henderson)
5. Tadd’s Delight – 4:29(Tadd Dameron)
6. Dear Old Stockholm – 7:49(Traditional, arr. Stan Getz)
《Personal》
Miles Davis(マイルス・デイヴィス) – Trumpet
John Coltrane(ジョン・コルトレーン) – Tenor Saxophone
Red Garland(レッド・ガーランド) – Piano
Paul Chambers(ポール・チェンバース) – Bass
Philly Joe Jones(フィリー・ジョー・ジョーンズ) – Drums
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