今回のラインナップ、めちゃ渋くてバランスがいい。『テルマ&ルイーズ』で始まり、『追憶』で締める構成は、まるで“自由と愛の行方”を軸にした小さな映画特集のようだ。

それぞれの作品が描くのは、時代の中で揺れ動く人間の心——自由を求める衝動、愛に縛られる痛み、そして選択の果てに残る静かな余韻。

どの物語も、観る者に「人はどう生き、どう愛するのか」を問いかけてくる。
並べて眺めると、一本一本が違う形をした“生き方の断片”みたいで、思わず時間をかけて語りたくなる。

是非、ご覧になってみては如何でしょう>?

テルマ&ルイーズ(1991)

リドリー・スコット監督が女性の自由と連帯を鮮烈に描いたロードムービーの傑作。

主婦テルマとウェイトレスのルイーズ、二人の小さな旅が思わぬ事件をきっかに逃避行へと変わっていく。荒野を突き抜けるオープンカー、燃えるような夕日、そしてあの衝撃のラスト——すべてが象徴的で美しい。

スーザン・サランドンとジーナ・デイヴィスの演技は見事で、女性映画としてだけでなく、人間の尊厳と生き方を問う普遍的ドラマとしても胸に響く。

初回放送日:2025年10月6日(月)午後1:00

作品情報

放送日時:10月6日(月)午後1:00~午後3:11
内容時間:2時間11分

原題:THELMA & LOUISE (1991年・アメリカ)
製作・監督:リドリー・スコット
出演:スーザン・サランドン、ジーナ・デイビス、ハーベイ・カイテル、ブラッド・ピット、マイケル・マドセン ほか

アメリカン・スナイパー(2014)

クリント・イーストウッドが老境にして放った、静かに胸をえぐる戦争ドラマ。実在の狙撃手クリス・カイルの半生を通じて、国家と個人、使命と心の平穏の狭間でもがく男の姿を描き出す。

ブラッドリー・クーパーが演じるカイルは、戦場では英雄、帰国すれば心の迷子。敵を撃つたびに積み重なるのは勲章ではなく、消えない罪の記憶だ。イーストウッドは戦争の是非を語らず、ただ“人間がどう壊れていくか”を静かに見つめている。

銃声の余韻が途絶えた後に訪れる静けさが、何よりも重く響く。アクション映画ではなく、“魂の記録”として観るべき一本。

初回放送日:2025年10月7日(火)午後1:00

作品情報

放送日時:10月7日(火)
午後1:00~午後3:14 内容時間:2時間14分

原題:AMERICAN SNIPER (2014年・アメリカ)
製作・監督:クリント・イーストウッド
出演:ブラッドリー・クーパー、シエナ・ミラー、ルーク・グライムス ほか

推定無罪(1990)

ハリソン・フォードが魅せる、抑えた激情。妻子ある検事ラスティが、同僚の女性検事の殺害容疑をかけられる――その瞬間から、彼の人生は静かに崩れ始める。

監督アラン・J・パクラは、派手な演出を避け、法廷ドラマの中に“人間の裏側”を描き込む。信頼と裏切り、欲望と罪悪感、家庭という名の仮面。そのどれもが曖昧で、息苦しいほどリアルだ。

フォードの演技は、怒りよりも沈黙で語る。無実を訴えながらも、どこかに漂う“罪の匂い”が、この映画の不安を際立たせている。

真実は法廷で明らかになるのか、それとも心の奥に葬られていくのか。ラストの余韻が、静かに観る者を締めつける。

初回放送日:2025年10月8日(水)午後1:00

作品情報

放送日時:10月8日(水)午後1:00~午後3:08
内容時間:2時間08分

原題:PRESUMED INNOCENT (1990年・アメリカ)
製作:シドニー・ポラック、マーク・ローゼンバーグ
監督・脚本:アラン・J・パクラ
出演:ハリソン・フォード、ブライアン・デネヒー、ラウル・ジュリア、ボニー・ベデリア、グレタ・スカッキ ほか

チャンス(1979)

庭師チャンスが、たまたま世間に出た瞬間から“天才”と勘違いされていく——そんな風変わりで皮肉な物語。

監督ハル・アシュビーの繊細な演出と、ピーター・セラーズの奇跡のような無垢さが、寓話のような優しさと社会風刺を同時に生んでいる。

この映画の面白さは、チャンスが何も考えていないのに、周囲が勝手に“深い意味”を見出してしまうところ。政治、メディア、富裕層の虚飾を、まるで鏡のように映し返す。

ラストの“水の上を歩く”シーンは、現実と幻想の境界を軽やかに越えていく象徴的な名場面。セラーズの静かな笑みには、哀しみと希望が同居しているようにも見える。ユーモアの仮面をかぶった、人間社会の寓話。観るたびに、時代を超えて問いかけてくる。

初回放送日:2025年10月9日(木)午後1:00

作品情報

放送日時:10月9日(木)午後1:00~午後3:11
内容時間:2時間11分

原題:BEING THERE (1979年・アメリカ)
製作:アンドリュー・ブラウンズバーグ
監督:ハル・アシュビー
出演:ピーター・セラーズ、シャーリー・マクレーン、メルヴィン・ダグラス ほか

ロイ・ビーン(1972)

西部の片隅に現れた“法の番人”を名乗る男。だがその正義は、誰よりも気まぐれで人間くさい。ジョン・ヒューストン監督が描いたのは、荒野に咲く孤独と虚無、そして男の滑稽な夢の記録。

ポール・ニューマン演じるロイ・ビーンは、悪党なのか、理想家なのか——そのどちらとも言い切れない矛盾を抱えた存在。彼が信奉するのは遠く離れた女優リリー・ラングトリーであり、その崇拝はいつしか自らの人生を支配していく。

この映画は西部劇の皮をかぶった風変わりな寓話であり、“正義とは何か”を問う物語でもある。ヒューストンのユーモアと毒気、そしてニューマンの憂いを帯びた瞳が絶妙に噛み合い、最後には笑いと寂しさが同時に胸に残る。

アメリカ神話の黄昏を見届けるような、不思議に美しい一編。

初回放送日:2024年11月29日(金)午後1:00

作品情報

放送日時:10月10日(金)午後1:00~午後3:04
内容時間:2時間04分

原題:THE LIFE AND TIMES OF JUDGE ROY BEAN (1972年・アメリカ)
製作:ジョン・フォアマン
監督:ジョン・ヒューストン
出演:ポール・ニューマン、ビクトリア・プリンシパル、ジャクリーン・ビセット、アンソニー・パーキンス、ステイシー・キーチ、タブ・ハンター、ロディ・マクドウォール、エヴァ・ガードナー ほか

追憶(1973)

時代が二人を引き裂き、愛がその隙間で静かに燃える。戦争、政治、理想、そして愛——激動の時代に翻弄されながらも、互いを忘れられない男女の切ない物語。

監督シドニー・ポラックが描くのは、単なる恋愛ではなく、“生き方そのものがすれ違う”哀しみ。レッドフォードの静かな優しさと、ストライサンドの情熱がぶつかり合うたび、観る者の胸に痛みが走る。

名曲「The Way We Were」が流れるだけで、もう涙腺が危うい。理屈を超えた“愛の記憶”というテーマが、時間を経てもなお瑞々しく響く。

過去を抱えながらも前へ進む——そんな人生の美しさと儚さを、そっと映し出した珠玉のラブストーリー。

初回放送日:2025年10月11日(土)午後9:00

作品情報

放送日時:10月11日(土)午後9:00~午後11:00
内容時間:2時間00分

原題:THE WAY WE WERE (1973年・アメリカ)
製作:レイ・スターク
監督:シドニー・ポラック
出演:バーブラ・ストライサンド、ロバート・レッドフォード、パトリック・オニール ほか

今回も長々とお付き合いありがとうございました!
尚、乱文についてはご容赦を!

爺さん頑張ってます!
↓ ↓ ↓
にほんブログ村 シニア日記ブログへ