
1917 命をかけた伝令(2019)
【作品解説】
第一次世界大戦のさなか、若いイギリス兵スコフィールドとブレイクが託されたのは、1600人の仲間を救うため、最前線へ“作戦中止の命令”を届けるという無謀な任務。
翌朝までのタイムリミット付きで、道中はどこを歩いても死と隣り合わせ。
監督はサム・メンデス。撮影はロジャー・ディーキンズ。この二人が組んだ映像世界はやっぱり桁違いで、全編がひと続きに見える“長回し風”の撮影が、戦場の過酷さをそのまま観客に突きつけてくる。
派手に爆発する戦争映画というより、静かで張り詰めた緊張がずっと続くタイプで、観終わったあとにじわじわ残る重さがある。
【見どころ】
見どころの中心は、なんと言っても“ワンカット風”の映像演出。塹壕の湿った空気、廃墟の静寂、突然走り出す兵士の息遣いまで、カメラがずっと寄り添っている。観ている側も戦場をさまよっている気分になり、緊張が途切れない。
ふたりの兵士のキャラクター性も魅力で、戦場を行くなかで見えてくる弱さと覚悟が物語に厚みを持たせている。そして、夜の廃墟を駆け抜けるシーンは圧巻。光と影のコントラストが美しく、戦争映画としても映画表現としても忘れられない名場面になっている。アカデミー撮影賞、視覚効果賞、音響賞受賞。
【作品情報】
放送日時:12月1日(月)午後1:00~午後3:00
内容時間:2時間00分
原題:1917 (2019年・イギリス)
製作・監督・脚本:サム・メンデス
出演:ジョージ・マッケイ、ディーン・チャールズ・チャップマン、コリン・ファース、ベネディクト・カンバーバッチ ほか990
ゴースト ニューヨークの幻(1990)
【作品解説】
デミ・ムーアとパトリック・スウェイジが共演し、世界的に大ヒットしたロマンティック・ファンタジー。
ニューヨークで陶芸家として暮らすモリーと恋人サムは、誰もが羨む関係を築いていたが、ある日サムが暴漢に襲われ命を落としてしまう。
幽霊となったサムは、突然ひとりになってしまったモリーを守るため、インチキ霊媒師として知られていたオダ=メイの力を借りながら、事件の真相に近づいていく。
ウーピー・ゴールドバーグが助演女優賞を受賞したコミカルな演技、そして“あの”有名な「アンチェインド・メロディ」が流れるろくろのシーンは、映画史に残る名場面として語り継がれている。
【見どころ】
見どころは、まずサムとモリーの“形のない愛”の描き方。もう触れ合うことすらできないのに、気持ちだけは確かに繋がっているという切なさが胸にくる。オダ=メイのコミカルな存在感も魅力で、物語の重さをうまく和らげてくれる。彼女とサムの掛け合いはテンポが良く、観ていてほっとする瞬間でもある。
さらに、ろくろのシーンはやっぱり外せない。音楽と映像が完璧にハマっていて、恋愛映画の象徴のような美しさがある。全体を通して“別れの痛み”と“愛の持つ強さ”をしっかり描き切った、後味の温かい作品になっている。
【作品情報】
放送日時:12月2日(火)午後1:00~午後3:08
上映時間:2時間08分
原題:GHOST (1990年・アメリカ)
監督:ジェリー・ザッカー
出演:パトリック・スウェイジ、デミ・ムーア、ウーピー・ゴールドバーグ ほか
逃亡者(1993)
【作品解説】
医師リチャード・キンブルは、何者かに自宅を襲われ、最愛の妻を殺した容疑で突然逮捕されてしまう。無実を訴える間もなく裁判は進み、護送中の思わぬ事故をきっかけにキンブルは脱走。
真犯人を追うため、自ら“逃亡者”として動き出す。ハリソン・フォードが演じるキンブルの必死さと、トミー・リー・ジョーンズ演じる執念深い捜査官ジェラードとの追走劇が、この映画の大きな軸。
テンポの良い展開と緊迫したアクションで、一気に最後まで引っ張られるタイプのサスペンスになっている。
ジェラード役のトミー・リー・ジョーンズがアカデミー助演男優賞を獲得。ドラマ版の魅力をうまく映画として再構築した、90年代サスペンスを代表する一本。
【見どころ】
一番の見どころは、キンブルとジェラードの“追う者・追われる者”の関係。立場は正反対なのに、どちらもプロとしての信念がぶれないところにドラマがある。列車事故のシーンやダムでの対峙など、印象的な場面も多く、どれも手に汗握る緊迫感。アクションが派手すぎず、リアリティを保った演出なのが逆に効いている。
さらに、キンブルが真相に少しずつ近づいていく過程も見応えがあって、ただの逃亡劇では終わらない深さがある。シンプルなのに抜群に面白い、90年代サスペンスの王道。
【作品情報】
放送日時:12月3日(水)午後1:00~午後3:12
上映時間:2時間12分
原題:THE FUGITIVE (1993年・アメリカ)
監督:アンドリュー・デイビス
原案・脚本:デビッド・トゥーヒー
出演:ハリソン・フォード、トミー・リー・ジョーンズ、ジュリアン・ムーア ほか
ペイ・フォワード 可能の王国(2000)
【作品解説】
ハーレイ・ジョエル・オスメントが演じる少年トレバーが、たったひとつのアイデアで周囲の人たちの人生を変えていく物語。
社会科の授業で「世界を変える方法を考えて実行せよ」という課題を出されたトレバーは、“誰かから受けた親切を、別の3人に回す”というシンプルで力強い仕組み「ペイ・フォワード」を思いつく。
小さな善意が静かに広がっていく一方で、人間関係の痛みや家庭の事情など、現実の壁にもぶつかっていくところにこの映画の深みがある。
ヘレン・ハントとケビン・スペイシーの演技が物語をしっかり支えていて、ジョン・ボン・ジョヴィの出演も密かに話題になった一本。
【見どころ】
見どころは何と言っても、トレバーのまっすぐすぎる善意が周りの大人たちに本気で影響を与えていく姿。
小さな行動が思わぬ形で繋がっていくところが、この映画の優しさでもあり、切なさでもある。また、シモネット教師と母親の関係性も、実は物語の重要な軸。傷を抱えた大人たちがトレバーの行動を通して少しずつ変わっていく流れは、静かに心に残る。
そしてラストに向けての感情の揺さぶりは強烈。きれいごとだけでは終わらせない“リアルさ”があるからこそ、善意の持つ力がより鮮明に響いてくる。
【作品情報】
放送日時:12月4日(木)午後1:00~午後3:04
上映時間:2時間04分
原題:PAY IT FORWARD (2000年・アメリカ)
監督:ミミ・レダー
原作:キャサリン・ライアン・ハイド
出演:ハーレイ・ジョエル・オスメント、ヘレン・ハント、ケビン・スペイシー、ジョン・ボン・ジョヴィ ほか
夕陽のガンマン(1965)
【作品解説】
クリント・イーストウッドとセルジオ・レオーネ監督が再びタッグを組んだ、マカロニ・ウエスタン黄金期を象徴する一作。
「荒野の用心棒」で世界に名を轟かせたコンビが、さらにスケールとスタイルを磨き上げて作り上げたのが本作。
物語は、凶悪な強盗団の首領をめぐって、二人の賞金稼ぎが火花を散らすというシンプルで痛快な西部劇。
リー・ヴァン・クリーフの存在感は圧倒的で、この映画で一気にスターに登りつめたのも納得の渋さ。
レオーネ特有のクローズアップとロングショットを大胆に切り替える映像演出、そしてエンニオ・モリコーネによる印象的な音楽が加わり、マカロニ・ウエスタンのスタイルを決定づけた一本として高く評価されている。
【見どころ】
まず外せないのが、二人の賞金稼ぎの“駆け引きと連携”の妙。立場も目的も違うのに、どこか似た者同士で、時に協力し、時に対立しながら進んでいく関係がドラマを熱くする。レオーネ監督の演出も見どころで、特に対決シーンの“間”の取り方が絶妙。カメラがじっと見つめるクローズアップ、広大な荒野をとらえたロングショット――このメリハリが映画全体の緊張感とリズムを作り上げている。
そして、モリコーネの音楽。ひとたびテーマ曲が流れるだけで映画の世界に一気に引き込まれるほど印象的で、マカロニ・ウエスタンの魅力を語るうえで欠かせない存在。西部劇としての面白さはもちろん、“映画としてのスタイル”そのものが楽しめる傑作。
【作品情報】
放送日時:12月5日(金)午後1:00~午後3:12
上映時間:2時間12分
原題:FOR A FEW DOLLARS MORE (1965年・イタリア)
監督・原案・脚本〕セルジオ・レオーネ
原案:フルビオ・モルセラ
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:クリント・イーストウッド、リー・ヴァン・クリーフ、ジャン・マリア・ボロンテ ほか
キング・コング(2005)
【作品解説】
1933年版『キング・コング』を心から愛していたピーター・ジャクソンが、最新のデジタル技術をフル投入してリメイクした超大作。
巨大な生物がうごめく謎の島、キング・コングと人間たちの対決、そしてニューヨークでの大暴れと、クラシック作品の魅力を残しつつスケール感を大幅アップさせている。
特にコングの表情と動きの表現力が圧巻で、ただの“怪物”ではなく感情を持つ存在として描かれているのがポイント。視覚効果賞、音響編集賞、音響賞の3部門でアカデミー賞を獲得したのも納得のクオリティ。
コングと心を通わせるヒロイン・アンを演じるナオミ・ワッツの演技も魅力で、彼女のリアクションが物語全体の感情をしっかり支えている。
【見どころ】
まず見どころは、やはり“キング・コングの存在感”。怒り、悲しみ、優しさがしっかり伝わる仕草や表情で、観ている側の感情を揺さぶってくる。巨大生物とのバトルや、スカル島の不気味な雰囲気も臨場感抜群。
ニューヨークでのクライマックスは圧倒的な迫力で、ビルの谷間を暴走するコングの姿は映画館で観たくなるレベルのド迫力。そして、アンとコングの関係性が意外なほど繊細で、美しさすら感じさせる。単なる怪獣映画にとどまらず、友情や悲しさが混ざった余韻のある“怪獣ドラマ”として成立している一作。
【作品情報】
放送日時:BSP4K 12月6日(土)午後9:00~午前0:09
上映時間:3時間09分
原題:KING KONG (2005年・アメリカ)
製作・監督・脚本:ピーター・ジャクソン
原案:メリアン・C・クーパー、エドガー・ウォレス
出演:ナオミ・ワッツ、ジャック・ブラック、エイドリアン・ブロディ ほか
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