
原題:Denial 製作年:2016年 製作国:イギリス・アメリカ合作 上映時間:110分
ジャンル:法廷ドラマ/歴史 私のおすすめ度:★★★★☆
「真実は誰のものか。」
歴史を否定された時、闘うべきは感情ではなく、証拠と誠実さだった──。
作品解説・コメント
『否定と肯定』は、現代における「言葉」と「歴史」の重みを静かに、けれど確かに突きつけてくる一本。実話をベースにした法廷劇でありながら、堅苦しさはほとんど感じられない。
むしろ観ているうちに、これは“歴史をめぐるミステリー”なのでは…と錯覚するほど、引き込まれてしまう。
主演のレイチェル・ワイズは、熱くなりすぎず、でも芯は強い“デボラ”というキャラクターを見事に体現。
さらに、トム・ウィルキンソン演じる弁護士リチャードとの絶妙な掛け合いも見どころで、「勝つこと」と「正義を貫くこと」の違いが静かに心に残る。
「何が事実か」は一見明白に思えるけれど、それを証明するには想像以上の覚悟と労力が必要だと、本作は教えてくれる。
裁判映画というより、“歴史を守る闘い”の物語として、多くの人に届いてほしい一作。
動画とあらすじ
《あらすじ》
ナチスによるユダヤ人大量虐殺、いわゆるホロコーストの存在は事実なのか、それとも虚構なのか──。
アメリカの大学で教鞭をとる歴史学者デボラ・リップシュタットは、自著の中で“ホロコースト否定論者”として批判したイギリス人作家デイヴィッド・アーヴィングから名誉毀損で訴えられる。
舞台はイギリスの法廷。
原告が立証義務を負うアメリカとは違い、被告であるデボラ側がホロコーストの事実性を“証明”しなければならないという立場に立たされる。
事実に基づいた証拠と証言、そして歴史の重みが交錯する中、真実を守るための闘いが始まる。
作品データ
《スタッフ》
監督:ミック・ジャクソン
製作:ゲイリー・フォスター、ラッセル・レヴィンソン
製作総指揮:デボラ・E・リップシュタット、ナイジェル・シンクレア、ティム・ビーヴァン ほか
原案:デボラ・E・リップシュタット著『Holocaust History on Trial』
脚本:デヴィッド・ヘア
撮影:ハリス・ザンバーラウコス
美術:サイモン・ボウルズ
衣装:コンソラータ・ボイル
音楽:ハワード・ショア
《キャスト》
出演:
レイチェル・ワイズ(デボラ・リップシュタット)
トム・ウィルキンソン(リチャード・ランプトン)
ティモシー・スポール(デイヴィッド・アーヴィング)
アンドリュー・スコット(アンソニー・ジュリアス)
原題の意味合いとは!
『Denial(否定)』という原題は、作品全体のテーマを非常に象徴的に表しています。
英語の denial は単なる「否定」だけではなく、
・「事実を受け入れないこと」
・「現実逃避」
・「拒絶」
など、心理的にも深い意味を持ちます。
この映画においては:
🔹 ホロコースト否認(Holocaust denial) を直接的に示しており、
🔹 さらに「真実から目をそらす態度」や「歴史的事実を認めたがらない心の動き」
という、加害者・傍観者を含む人間の心理全体も暗に含んでいます。
つまり単なる法廷での“否定”ではなく、もっと広い意味での「事実とどう向き合うか?」という問いを含んでいるタイトルかとはかんじるんですが……。
なので邦題『否定と肯定』は、やや中和された表現ですが、原題の Denial はもっと鋭く、挑戦的な印象を持っていると言えますね。ちゃんちゃん!
爺さん頑張ってます!↓ ↓ ↓

