
Hub-Tones – Freddie Hubbard
ハブ・トーンズ / フレディ・ハバード
(録音日:1962年10月10日 リリース日:1963年)
若きハバードがブルーノートの歴史に刻んだ、燃え立つような一枚。
解説・コメント
1960年代初頭、モダンジャズはハードバップからモーダルな探求へと移行しつつあった。その過渡期に登場したのが『Hub-Tones』。
23歳のフレディ・ハバードが自らの旗を高々と掲げ、「俺の時代が来た」と宣言するような意欲作だ。タイトル曲「Hub-Tones」のテーマを聴けば、その切れ味とエネルギーに圧倒される。
しかし、勢いだけの作品ではないと私は考える。
バラード「Lament for Booker」では、早逝した同世代の天才トランペッター、ブッカー・リトルに深い哀悼を捧げ、内省的な表情を見せている。この両面性こそがアルバムを特別な存在にしている。
さらに特筆すべきは人選だ。まだ新人に近かったハービー・ハンコックが参加し、既にただ者ではないピアノを響かせている。
さらに、ジェームズ・スパルディングのアルトとフルートが加わることで、アンサンブルにカラフルな色彩が生まれ、単調さを回避しているのも巧みだ。
ハバードは後年さらにテクニックと表現の幅を広げていくが、この時期の彼には“若さの爆発”ともいうべき鮮烈さがある。
ただ、作品の硬派さゆえに取っつきにくいと感じる人もいるかもしれないが、逆にそこにジャズの進化の鼓動がある。
おすすめの1曲は、やはりアルバムの核「Hub-Tones」。彼のトランペットの真価を体感できる瞬間だ。
《聴きどころ》
ハバードの輝くようなトーンと、強靭なアタック。熱気あふれるブラスサウンドの中で、ハンコックのピアノが柔らかさを添える対比も面白い。
特に「Hub-Tones」と「Lament for Booker」、この二曲の対照性を味わうのが聴きどころ。
Track list & Personal
《Track list》
1.You’re My Everything – 6:33(Harry Warren, Mort Dixon, Joe Young)
2.Prophet Jennings – 5:30(Freddie Hubbard)
3.Hub-Tones – 8:10(Freddie Hubbard)
4.Lament for Booker – 7:40(Freddie Hubbard)
5.For Spee’s Sake – 8:30(Freddie Hubbard)
Freddie Hubbard(フレディ・ハバード)– trumpet
James Spaulding(ジェームズ・スパルディング)– alto saxophone, flute
Herbie Hancock(ハービー・ハンコック)– piano
Reggie Workman(レジー・ワークマン)– bass
Clifford Jarvis(クリフォード・ジャーヴィス)– drums
《総評として》
『Hub-Tones』は、若きハバードが自らの存在を鮮烈に刻んだアルバムであり、ブルーノートの黄金期を象徴する作品のひとつ。テクニック、作曲力、仲間たちの演奏すべてが高水準で、ジャズの進化をリアルタイムで記録している。
裏話としては、アルバム全体が一日で録音されたという事実も驚きだ。若さと集中力がぶつかり合って生まれた熱気は、まさに時代を切り裂くサウンドといえる。
爺さん頑張ってます!↓ ↓ ↓

