原題:L’uomo che verrà 製作年:2009年 製作国:イタリア 上映時間:117分
ジャンル:歴史ドラマ/戦争ドラマ 私のおすすめ度:★★★★☆/4.0点

語られない悲劇ほど、深く残る。

作品情報・コメント

監督はGiorgio Diritti。1944年に実際に起きた「マルツァボットの惨劇」を、8歳の少女の視点から描いた歴史ドラマである。

物語の中心にいるのは、弟の死をきっかけに口をきけなくなった少女マルティーナ。彼女は多くを語らない。ただ見つめる。

前半はほとんどが農村の日常だ。畑仕事、家畜の世話、母の出産を待つ家族の空気。貧しいが、そこには確かな生活のリズムがある。

その静かな営みの奥に、戦争はゆっくりと忍び寄る。爆音よりも先に、不穏な気配が空気を変えていく。観客は少女と同じ高さで、その変化を感じ続けることになる。

声高に訴えない。だからこそ、重い。

動画とあらすじ

《ザックリあらすじ》
1944年、イタリア北部の山間の村。農民一家の長女マルティーナは、幼い弟を亡くして以来、言葉を失っていた。母は新たな命を宿し、家族は慎ましく暮らしている。

しかし、周辺ではパルチザンとドイツ軍の衝突が激化。やがて、ナチス親衛隊が村を包囲し、住民への無差別虐殺が始まる。少女の視点は、誇張も説明もなく、その現実をただ受け止める――。

作品データ&豆知識

《スタッフ》
監督:ジョルジョ・ディリッティ
脚本:ジョルジョ・ディリッティ ほか
撮影:ロベルト・チマッティ

《キャスト》
マルティーナ:グレタ・ズッケリ・モンタナーリ
レーナ(母):マヤ・サンサ

《こぼればなし・裏話》
・実際のマルツァボット事件の証言をもとに制作。
・ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で主要部門を受賞。
・当時の農村の方言や生活様式を徹底的に再現している。

《原題の意味合いとは》
“L’uomo che verrà” は「やがて来る人」。
それは生まれてくる命を指すとも、破壊をもたらす者を指すとも取れる。
希望と恐怖が同居する、二重の意味を持つタイトルである。

《総評として》
この映画は、戦争を“事件”として描くのではなく、“奪われていく日常”として描いている。
そこが胸に残る。

畑を耕し、家族で食卓を囲む。どこにでもある普通の生活が、ある日突然断ち切られる。
その理不尽を、少女の沈黙というフィルターを通して見せることで、観る側は逃げ場を失う。

爆発や銃撃の場面はある。だが、本当に心に残るのはその後の静寂だ。
音が消え、動くものがなくなった空間の重さ。

怒鳴らない。泣き叫ばない。ただ、事実を見せる。

観終わったあと、すぐに感想が出てこない。しかし数日後、ふとした日常の風景を見たとき、この映画のことを思い出している。

そんな余韻を残す作品である。重い。だが、観る価値はある。
戦争映画の中でも、静かに心をえぐる一本だ。

長くなってしまった!ごめん!

爺さん頑張ってます!
↓ ↓ ↓
にほんブログ村 シニア日記ブログへ