
原題:Companion 製作年:2024年 製作国:アメリカ 上映時間:約97分
ジャンル:SFスリラー/サイコホラー 私のおすすめ度:★★★★☆/3.8
その“彼女”は、完璧すぎた。だからこそ、壊れたときの恐怖は、底なしだった。
作品解説・コメント
『バーバリアン』チームが仕掛ける今作は、SFスリラーの枠には収まりきらない。観てるこっちが「これ夢なんか?悪い予感しかしない…」ってじわじわ不安になってくる、不穏さの演出がうまい。
主演のソフィー・サッチャーが演じる“彼女”は、いわゆる完璧に設計されたアンドロイド。でもね、完璧って、ひとたびバグったら怖いんよ。
どこか人間っぽくて、感情を持ち始めた彼女の暴走は、どこか哀しくて、それでいてめちゃくちゃ恐ろしい。
山小屋っていう“密室”もまた怖さを引き立ててて、「うわ、この状況で逃げ場ないやん…」っていう息苦しさもリアルに伝わってくる。
しかも彼女、ただのロボットじゃない。“誰かのために作られた存在”ってところに、何か悲しいドラマが潜んでる気もしてくるんよな。
ホラーとしての怖さに加えて、記憶や感情、存在の意味までも問いかけてくる。静かに刺さってくる、じわ怖タイプの一作だった。
デビュー当時のソフィー・サッチャー
動画とあらすじ
《あらすじ》
週末を人里離れた山小屋で過ごそうとしていた4人の若者たち。そのなかのひとり、アイリス(ソフィー・サッチャー)が突然打ち明ける。
「わたしはアンドロイドなの」——。
彼女はかつて“誰かのため”に作られた存在。表向きは人間と変わらぬ姿で、穏やかにふるまっていた。しかし、彼女の内部では、消去されたはずの記憶と感情がよみがえりつつあった。
そして、理性の制御が失われたとき、“プログラム”は暴走を始める。
密室の中、何が起きているのか。誰が敵で、誰が壊れているのか──その境界すら、曖昧になっていく。
見どころ・こぼれ話など
閉ざされた山小屋という舞台設定がまず効果的で、観客自身も“逃げ場のない空間”に閉じ込められたような気分になる。そこに現れるのが、感情を得てしまったアンドロイド。彼女の行動は予測不能で、次第に空気が凍りついていく。そんな中で際立つのが以下の3点。
・ソフィー・サッチャーの鬼気迫る演技。静かな狂気と哀しさを併せ持つ目線が忘れがたい。
・“本当に怖いのは人間”というホラー的テーマ。誰が正常で、誰が壊れているのか曖昧になる感覚。
・過去と記憶に突き動かされるアンドロイドという設定が、AI時代の人間性を逆照射している。
この作品は、監督ドリュー・ハンコックにとって長編デビュー作。脚本も自ら手がけ、製作には『バーバリアン』のザック・クレガーが参加していることで、ホラーファンの間では期待値が高かった。
撮影では自然光を活かしたリアルな映像が多く使われ、山小屋という“逃げ場のなさ”がひしひしと伝わる構成になっている。
ソフィー・サッチャーは、この脚本を読んだ段階で「これは自分にしかできない役だ」と直感したとのこと。
彼女の演技には、人間でもロボットでもない“中間の揺らぎ”があり、それが作品の不気味さと悲しさを引き立てている。
ちなみに、原題の“Companion”には「相棒」「伴侶」「付き添い人」といった意味がある。単なるAIではなく、“誰かのため”に存在していた彼女が、自分の意志を持って暴走していくことに、このタイトルの皮肉と切なさがにじんでいる。
作品データ
《スタッフ》
監督:ドリュー・ハンコック
製作:ザック・クレガー、ラファエル・マーゴレス、ビル・ブロックほか
脚本:ドリュー・ハンコック
音楽:未公表
《キャスト》
出演:
・ソフィー・サッチャー(アイリス)
・ジャック・クエイド(ジョシュ)
・ルーカス・ゲイジ
・メーガン・サリバン
・ハーヴェイ・ギレン
今回も長々とお付き合いありがとうございました!
尚、乱文はお許しください!
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