
原題:The Spy 製作年:2019年 製作国:ノルウェー 上映時間:110分 ジャンル:戦争/サスペンス/伝記 私のおすすめ度:★★★☆☆/3.8
女優としての仮面か、スパイとしての素顔か………….!
作品解説・コメント
第二次世界大戦のさなか、ナチス・ドイツに占領されたノルウェー。静かに忍び寄る恐怖と支配の影のなか、一人の女優が歴史の歯車に巻き込まれていく。
彼女の名はソニア・ヴィーゲット――銀幕のスターでありながら、やがて“スパイ”という裏の顔を持つことになる女性だ。
『ソニア ナチスの女スパイ』は、華やかでありながらも冷徹な諜報の世界を背景に、実在した女性スパイの人生を映し出す伝記ドラマである。
ただのスパイスリラーではなく、これは「国家と愛」「忠誠と裏切り」といった相反する力に引き裂かれる人間の物語。物静かで抑制された演出のなかに、強烈な緊張感と哀しみが漂う。
主人公ソニアがナチス将校と関係を持ちつつ、その裏で情報を流す様は、まるで舞台の上で命を削る芝居を演じているようだ。
彼女はただの駒だったのか、それとも自ら選び取った運命だったのか。その曖昧さ、解釈の余地こそがこの映画の深みだろう。
主演のイングリッド・ボルゾ・ベルダルは、言葉少なに、しかし目の奥に激しい葛藤を宿した演技で、この複雑な役を圧倒的に演じきる。
ときに冷たく、ときに母性的に、そして最後には悲しげに――観る者はいつしか彼女の側に立って、その行く末を見守ることになる。
やがて訪れるのは、戦争という巨大な論理によって押しつぶされる個人の運命。その結末は静かで残酷であり、だからこそ余韻が深く、胸に残る。これは情報戦の物語であると同時に、沈黙と微笑の奥に何を抱えた人間の肖像なのだ。
動画とあらすじ
【あらすじ】
1940年代、ナチス・ドイツがノルウェーを占領していた時代。オスロの空は灰色に沈み、人々の暮らしには常に監視の目と恐怖が付きまとう。
そんな中、銀幕のスターとして人気を博していたソニア・ヴィーゲットは、思いも寄らぬ運命に引き込まれていく。彼女が手にしたのは脚本ではなく、命がけの“役”だった。
ナチス高官の愛人という仮面をまとい、彼女は祖国のために密かに情報を伝えるスパイとして動き始める。しかし、華やかさの裏側に潜むのは、絶えず張り詰めた神経と、心をすり減らしていく日々だった。
やがてソニアは、自分の行動が誰を救い、誰を傷つけるのか、分からなくなっていく。
作品データ
《スタッフ》
監督:イェンス・ヨンソン
脚本:ハーラル・ローセンローブ=エーグ ヤン・トリグベ・レイネランド
《キャスト》
出演:
ソニア・ビーゲット/イングリッド・ボルゾ・ベルダル
トルステン・アクレル/ロルフ・ラスゴード
ヨーゼフ・テアボーフェン/アレクサンダー・シェアー
アンドル・ゲラート/ダミアン・シャペル
ノルウェー映画「ソニア ナチスの女スパイ」の公開に先駆け、本作を鑑賞した著名人からコメントが到着した。
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