
原題:Hacksaw Ridge 製作年:2016年 製作国:アメリカ・オーストラリア合作
上映時間:139分 ジャンル:戦争/ヒューマンドラマ 私のおすすめ度:★★★★☆/3.8
銃を持たずに命を救った男。信念が貫いた“もう一つの戦場”。
作品解説・感想
『ハクソー・リッジ』は、メル・ギブソン監督が手がけた実話に基づく戦争映画で、第二次世界大戦・沖縄戦を舞台にしています。
主人公デズモンド・ドスは、「人を殺さない」という信念を持った衛生兵。銃を一切持たずに戦場へ赴き、命を救い続けた彼の姿が描かれます。
戦争映画でありながら、中心にあるのは“信念”と“命への尊厳”。血飛沫飛び交う激戦の中でも、彼は「敵も味方も関係ない」とばかりに次々と兵士を救い出す。
信仰の重み、軍隊の規律、仲間の誤解、すべてに抗いながらも、最後には英雄と称えられる彼の姿に心が震えます。
戦場のリアルと精神の葛藤を、ここまで真正面から描いた作品はそう多くない。
個人的にも、メル・ギブソンの演出力と、アンドリュー・ガーフィールドの名演に拍手を送りたい作品です。
良かったんだが、ラストが物足りなさを感じる。
動画とあらすじ
舞台は第二次世界大戦末期。デズモンド・ドスは幼い頃から人を傷つけることを拒絶し、キリスト教の教えを信じて育った青年。徴兵されながらも、戦場で“銃を持たずに人を救う”ことを志願し、衛生兵として軍に加わる。
だが軍の内部では、非戦闘員としての彼の存在が理解されず、仲間からのいじめや上官の圧力にさらされる日々。しかしドスは一歩も引かない。そしていよいよ、沖縄・前田高地――“ハクソー・リッジ”と呼ばれる地獄の戦場に送り込まれる。
圧倒的な劣勢、阿鼻叫喚の中で、彼はただ一人、銃を持たずに負傷兵を背負い、ロープで崖下へと降ろしていく。その数、75人――。それは「人を救いたい」という純粋な祈りのような行動だった。
見どころなど….!
《見どころ & ポイント》
① アンドリュー・ガーフィールドの魂を削るような演技。心優しき青年から戦場の英雄への変化が圧巻。
② 前田高地の戦闘シーンの生々しさ。観ていて息が止まりそうになるリアリズムと衝撃。
③ 「殺すより、救うことを選ぶ」という真逆のヒーロー像。戦争映画の中でも異色の美学が光る。
《こぼれ話・裏話》
・デズモンド・ドスは、アメリカ史上初めて“良心的兵役拒否者”として名誉勲章を受章した実在の人物。
・映画では過酷な訓練描写もあるが、現実のドスも実際に仲間から暴行を受けるなどしていた。
・アンドリュー・ガーフィールドは役作りのためにドス本人の映像やインタビューを徹底的に研究。
・撮影はオーストラリアで行われ、多くのオーストラリア人俳優が出演している。
・メル・ギブソンにとって『アポカリプト』以来10年ぶりの監督作となった。
《原題の意味とは》
“Hacksaw Ridge”とは、沖縄・前田高地にあった断崖の通称。のこぎり(hacksaw)のようにギザギザと切り立った崖に由来しており、激戦地として知られる。そこはまさに“地獄の坂道”であり、この作品の精神の象徴でもある。
作品データ
《スタッフ》
監督:メル・ギブソン
脚本:ロバート・シェンカン、アンドリュー・ナイト
製作:ビル・メカニック、デヴィッド・パーマット 他
撮影:サイモン・ダガン
編集:ジョン・ギルバート
音楽:ルパート・グレッグソン=ウィリアムズ
《キャスト》
アンドリュー・ガーフィールド(デズモンド・ドス)
サム・ワーシントン(グローヴァー大尉)
ヴィンス・ヴォーン(ハウエル軍曹)
ルーク・ブレイシー(スミティ)
ヒューゴ・ウィーヴィング(父トム・ドス)
テリーサ・パーマー(ドロシー)
レイチェル・グリフィス(母バーサ)
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