
原題:敵 製作年:2024年 製作国:日本 上映時間:92分
ジャンル:サイコドラマ/心理サスペンス 私のおすすめ度:★★★★☆/4.0
「静かな日常に忍び込む“見えない敵”が、心をかき乱す。」
作品解説・コメント
筒井康隆の小説を映画化した『敵』は、老境の男が静かな日常の中で「見えない何か」にじわじわ追い詰められていく姿を描いた心理サスペンス。
吉田大八監督らしい抑制の効いた演出で、モノクロ映像が作品全体に冷たい質感を与えている。照明や陰影の使い方も巧みで、普通の部屋や街角が不安を孕んだ舞台に見えてくるのが印象的や。
長塚京三演じる渡辺儀助は、落ち着いた佇まいの中に「老いの孤独」と「理性のひび割れ」が同居している。穏やかな語り口がふとした瞬間に緊張へと変わる演技は、経験豊富な俳優だからこその説得力がある。
見ているこちらも“何が現実で何が虚構なのか”を測りかね、儀助と一緒に不安の渦に巻き込まれていく感覚になる。ただ、良くも悪くも説明を排した作りで、観ている本人に委ねられる部分が多い。
ハッキリとした答えやカタルシスを求める人には「なんやこれ?」と肩透かしになるかもしれない。逆に言えば、その“突き放された余白”に想像力を差し込める人には、たまらなく魅力的な映画になる。
結局のところ、この作品が描こうとしているのは「敵とは誰なのか」という問いやと思うがややこしい!
外から侵入してくる脅威ではなく、自分の心に潜む恐怖や不安こそが“敵”なんじゃないか。ってね!
日常と幻の境界が曖昧になるこの映画は、観る者自身の心を映す鏡みたいな存在や。
《見どころ》
モノクロの映像が生む冷たい空気感。儀助の暮らしに“敵”が侵入してくる瞬間は具体的には示されないが、電話やメッセージを通じてじわじわと侵食していく。
その曖昧さが逆に恐怖を強めている。また、儀助の独白や沈黙に映る「老いの孤独」。日常の中で「死」と向き合う姿が、観客の胸を突く。
動画とあらすじ
《ザックリあらすじ》
穏やかに暮らす老教授・渡辺儀助のもとに、“敵”と名乗る者から不穏なメッセージが届く。最初は悪戯かと思われたが、日常に小さな異変が積み重なり、儀助の心は次第に追い詰められていく。現実と幻覚の境界は揺らぎ、彼にしか見えない“敵”が確かに存在するように思えてくるのだが…。
作品データ
【スタッフ】
監督:吉田大八
原作:筒井康隆「敵」
脚本:吉田大八
撮影:芦澤明子
照明:金子康博
録音:白取貢
編集:伊藤潤一
音楽:池永正二
【キャスト】
出演:
長塚京三(渡辺儀助)
瀧内公美(大学時代の教え子)
河合優実(バーで出会う大学生)
黒沢あすか(亡くなった妻)
松尾諭
松尾貴史
カトウシンスケ
中島歩
(その他、多くの実力派が脇を固める)
第37回東京国際映画祭:東京グランプリ、最優秀監督賞、最優秀男優賞 受賞
《裏話・こぼればなし》
・長塚京三は12年ぶりの映画主演。老境を生きる男の姿が重厚に映る。
・東京国際映画祭では、日本映画として19年ぶりの“三冠”を達成。
・モノクロ映像での撮影は、監督いわく「記憶と幻の境目を描くため」。
《原題の意味合いとは》
“敵”とは単なる外部からの脅威ではなく、主人公の心に潜む不安や老いそのものを象徴している。現実にいるのか、幻なのか、観客自身が向き合うことになる“心の影”。
《総評として》
正直、最初は「何が起きてるんや?」って感じでちょっと戸惑う。でも見続けてると、じわじわ効いてくる不安がクセになるんよね。
派手さは全然ないし、説明も少ないから人によっては「わかりにくい」ってなると思う。でも俺的には、この“突き放された感じ”が逆にリアルで良かった。
長塚京三の自然体の演技がめちゃ効いてて、淡々とした日常の中に、ふっと恐怖が差し込む瞬間はゾクッときたわ。結局、“敵”って外から来るものやなくて、自分の中の影なんちゃうかな…って思わせるところが面白かった。
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