原題:The Secrets We Keep 製作年:2020年 製作国:アメリカ 上映時間:97分
ジャンル:サスペンス/心理劇 私のおすすめ度:★★★☆☆/3.6

「ただの復讐劇」から「記憶の危うさ」と「人間の心の闇」へ

作品解説・コメント

《解説解説・コメント》
『マヤの秘密』は、戦争という巨大な歴史の裏側にある“個人のトラウマ”に焦点を当てた心理サスペンス。物語の中心にあるのは、加害と被害、そして記憶と真実というテーマ。

だがこの映画が他の復讐劇と一線を画すのは、それらを単なる正義の物語として描かないところにある。

主人公マヤは、ナチスに暴行されたという忌まわしい記憶を抱えながらも、家族とともにアメリカで穏やかな日常を送っている。だがある日、その日常が“記憶”によって音を立てて崩れ始める。

彼女の行動は激情的でありながらも、どこか壊れそうなほど繊細で、観客は「マヤの言っていることは本当に正しいのか?」という不安と、「それでも彼女を信じたい」という矛盾を抱えながら、息詰まる心理戦を見守ることになる。

ノオミ・ラパスの演技は圧巻で、特に感情が爆発する場面よりも、沈黙の中に狂気と苦悩を滲ませる表情が秀逸。

また、観客に判断を委ねるような脚本の構成も非常に巧妙。善悪の境界を曖昧にし、「記憶に基づく復讐」がどこまで許されるか、深く問いかけてくる作品だ。

動画とあらすじ

《あらすじ》
1950年代、戦後間もないアメリカの郊外。かつてナチスの兵士に暴行された経験を持つマヤは、夫と息子と静かな生活を送っていた。ある日、街の広場で偶然目にした男に、あの戦時中の加害者の面影を見つけてしまう。

マヤは恐怖と怒り、混乱の中で衝動的に男を誘拐。自宅の地下室に監禁し、夫のルイスにも協力を求める。マヤは男に対して「あなたはあのとき私を傷つけた」と告げ、罪の自白を迫るが、男は「人違いだ」と否定し続ける。

果たして彼は本当に加害者なのか。それともマヤの記憶が歪められているのか──。

誰も真実を確かめる手段を持たないまま、3人の関係は徐々に壊れはじめる。そして、マヤの“秘密”は、自らを守るための嘘だったのか、それとも語られなかった真実だったのか――。

作品データ

《スタッフ》
監督:ユバル・アドラー
脚本:ライアン・コンビントン、ユバル・アドラー
撮影:コーリャ・ブラント
美術:ネイト・ジョーンズ
編集:リチャード・メトラー
音楽:ジョン・パエザーノ

《キャスト》
出演:
マヤ/ノオミ・ラパス
トーマス・スタインマン/ジョエル・キナマン
ルイス/クリス・メッシーナ
レイチェル/エイミー・サイメッツ

爺さん頑張ってます!
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