原題: What’s Eating Gilbert Grape 製作年: 1993年 製作国: アメリカ
ジャンル: ドラマ/ヒューマン 上映時間:118分  私のおすすめ度の:★★★★☆/4.5

   誰かのために、そこにいる。それだけで、愛は始まる!

作品解説・コメント

スウェーデン出身のラッセ・ハルストレム監督が、アメリカ中西部の小さな田舎町を舞台に描いた『ギルバート・グレイプ』(1993)は、“家族のしがらみ”という見えない重みと、その中に差し込む希望の光を、驚くほど丁寧にすくい取った静かな傑作です。

主演はジョニー・デップ。そして世界中の注目をさらったのが、知的障害を持つ弟アーニーを演じた19歳のレオナルド・ディカプリオ。あまりにリアルで生々しい演技に、「これは本当に俳優なのか?」という声すら上がったほど。

このアーニーの存在こそが、映画の中核であり、最も胸を締めつける見どころのひとつです。

物語は、亡き父に代わり、過食症で外に出られない母、アーニー、そして家庭を支える姉妹たちと共に暮らす青年ギルバートの日々を描きます。

彼の生活は決してドラマチックではありません。まるで時間が止まったような日常。けれど、登場人物たちのささやかな表情や、沈黙の間に込められた感情が、驚くほど雄弁に語りかけてくる。

派手な演出ではなく、“ありのまま”の重さと優しさが、この作品の真骨頂です。

旅の少女ベッキーとの出会いも重要な転機。

彼女の自由でまっすぐな言葉が、息を潜めるように生きていたギルバートの心に、小さな火を灯していく。彼の心の変化が、ゆっくりと、でも確実に描かれていくプロセスも大きな見どころです。

母の圧倒的な存在感は、“動けないけれど動かしてくる”という矛盾そのもの。そして、閉塞感に満ちた町の空気までが、ギルバートを縛る現実として立ちはだかる。(もう、ほんま逃げ場ないやん……って思うほど)

でも、映画が伝えたいのは「絶望」ではなかった。

何かが“変わる”わけじゃなくても、誰かのためにそこに留まり、見守り続けること――それだけで愛は成立するんだと、静かに語ってくれる。

観終わったあと、心の奥にじんわりと広がる余韻が、きっと観る人それぞれの「人生」と重なっていく。

そして、それこそが、この映画の最大の見どころかもしれない。大事件も奇跡も起こらない。でも、ふとした風景や言葉が、なぜか忘れられない。

そんな一本でした。

動画とあらすじ

《ザックリあらすじ》
アイオワの田舎町。ギルバート・グレイプは、父を亡くし、過食症で肥満となった母、知的障害を持つ弟アーニー、姉妹たちと暮らしていた。

家計を支えるためにスーパーで働きながら、家族の面倒を見続ける日々。

そんな中、トレーラーで旅をする少女・ベッキーが現れ、彼女と心を通わせることで、ギルバートの心にも少しずつ変化が生まれていく。

作品データ

《スタッフ》
監督:ラッセ・ハルストレム
製作:マイアー・テパー、 ベアティル・オールソン、 デビッド・マタロン
製作総指揮:ラッセ・ハルストレム、 アラン・C・ブロンクィスト
原作:ピーター・ヘッジズ
脚本:ピーター・ヘッジズ
撮影:スベン・ニクビスト
美術:バーント・カプラ
編集:アンドリュー・モンドシェイン
音楽:アラン・パーカー、 ビョルン・イシュファルト

《キャスト》
出演:
ギルバート/ジョニー・デップ
アーニー/レオナルド・ディカプリオ
ベッキー/ジュリエット・ルイス
ベティ/メアリー・スティーンバージェン
ジョン・C・ライリー
ダーレン・ケイツ 他

爺さん頑張ってます!
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