
原題:Le Voyage de Fanny 製作年:2016年 製作国:フランス/ベルギー 上映時間:96分
ジャンル:戦争/ドラマ 私のおすすめ度:★★★★☆/4.0
戦争の悲劇を“子どもたちの目線”で描いた希少な作品
作品解説・コメント
アルプスの山影に抱かれた小さな足音は、歴史のざわめきにかき消されることなく、いまも確かに響いている。『少女ファニーと運命の旅』は、ナチス占領下のフランスという過酷な時代を背景に、子どもたちの勇気と希望の灯を描いた静謐な傑作だ。
この作品には、戦争の銃声も血もほとんど描かれない。
それなのに、否、それだからこそ、深く心を揺さぶられる。子どもたちのまなざし――そこには大人では到底到達できない“本当の強さ”がある。
彼らが交わす小さな言葉、無言の連帯、時に爆発する涙と怒り。それは生きることの本質にふれている。
とりわけファニーを演じたレオニー・スーショーの存在感は圧巻。まだあどけなさを残しながらも、妹たちを守り、仲間たちを導こうとするその姿には、抗えない真実が宿っている。
彼女の瞳に映る風景は、恐怖に満ちているのに、どこか美しい。希望とは、こんなにも儚く、そして強靭なものなのだと、この映画は静かに教えてくれる。
良い作品だった!!
動画とあらすじ
【あらすじ】
1943年、フランス。戦火の影がじわじわと迫る中、ユダヤ人の子どもたちは家族と引き離され、ひそかにスイスへの避難を余儀なくされていた。12歳のファニーは、妹たちとともにある収容施設に身を寄せていたが、ある日突然、その場所すらも安全ではなくなってしまう。
命を守る唯一の道、それは国境を越え、スイスへ逃れること。だが、頼りにしていた大人たちはもはや手を貸せない。ファニーは、妹や見知らぬ子どもたちを引き連れて、自らの意思で逃避行の先頭に立つ。
地図もない。金もない。仲間の中には幼い子もいる。追っ手がすぐ背後まで迫る中、ファニーたちは森を抜け、川を渡り、時に裏切りに傷つきながら、ひたすら前を向いて進んでいく。
ただ、生きるために。
ただ、希望を信じるために。
その旅は、恐怖に満ちていたが、同時にかけがえのない絆と、自分自身の“生”と出会う時間でもあった。幼い彼女たちは、戦争という荒波の中で、自らの足で未来を選び取っていく。
作品データ
《スタッフ》
監督:ローラ・ドワイヨン
製作:サガ・ブランシャール マリー・ドゥ・リュジニー ビクター・ハディダ サミュエル・ハディダ
原作:ファニー・ベン=アミ
脚本:ローラ・ドワイヨン アン・ペイレニャ
《キャスト》
ファニー/レオニー・スーショー
エリカ/ファンティーヌ・アルドゥアン
ジョルジェット/ジュリアーヌ・ルプロー
ヴィクトール/ライアン・ブロディ
ディアヌ/アナイス・マイリンゲン
ラシェル/ルー・ランブレヒト 他
↓ ↓ ↓

