フォードvsフェラーリ(2019)

【作品紹介】
”勝利を信じ、限界に挑んだ男たちの絆”

勝つために必要なのは、優れたマシンか、それとも常識を超える男たちの情熱か。マット・デイモンとクリスチャン・ベールが共演し、1966年のル・マン24時間レースで、絶対王者フェラーリに挑んだ男たちの実話を描いた作品です。

フォード・モーター社から、ル・マンで勝てるレーシングカーの開発を託されたキャロル・シェルビー。元レーサーであり、カーデザイナーとしても才能を発揮する彼が頼ったのは、英国人ドライバーのケン・マイルズだった。

卓越した運転技術と、マシンのわずかな変化を感じ取る感覚を持つ一方、妥協を嫌うマイルズは、周囲と衝突することも少なくなかった。

そんな彼の才能を信じ、巨大企業の思惑との間に立つシェルビー。ふたりは時に激しくぶつかりながら、限界までマシンを磨き上げていく。速さを追い求める現場と、組織の論理。

その食い違いが、レースの勝敗だけでは語れない人間ドラマを生み出している。

見せ場となるレース場面は、エンジンの咆哮や路面を駆け抜ける速度感が圧巻。しかし、それ以上に胸を打つのは、互いの仕事を認め合う男たちの関係だろう。飄々とした表情の奥に覚悟をにじませるデイモンと、不器用な職人肌のドライバーを体現するベール。その演技が、ふたりの信頼を確かなものとして伝えてくれる。

監督はジェームズ・マンゴールド。アカデミー賞2部門を受賞した本作は、車に詳しくなくても、仕事への誇りと友情に引き込まれる、熱く余韻の残る一本だ。
是非、鑑賞を!

【NHKプレミアムシネマ/放送日と作品情報】
放送日時:11月2日(月)午後1:00〜午後3:34
上映時間:2時間34分

原題:FORD V FERRARI (2019年・アメリカ)
製作・監督:ジェームズ・マンゴールド
脚本:ジェズ・バターワース、ジョン・ヘンリー・バターワース、ジェイソン・ケラー
撮影:フェドン・パパマイケル
音楽:マルコ・ベルトラミ、バック・サンダース
出演:マット・デイモン、クリスチャン・ベール、ジョン・バーンサル ほか

追憶(1973)

【作品紹介】
”愛し合っても、同じ道を歩めなかったふたり”

深く愛し合っていても、同じ人生を歩めるとは限らない。ロバート・レッドフォードとバーブラ・ストライサンドが共演し、性格も信念も異なる男女の出会いと別れを、時代の移り変わりとともに描いた恋愛映画。

物語の背景は、1930年代から50年代のアメリカ。社会の矛盾に目を向け、自分の考えをまっすぐに主張するケイティと、恵まれた才能と魅力を持ち、周囲と穏やかに付き合うハベル。

対照的なふたりは、互いに自分にはないものを感じ、心を引かれるが、出会った頃には魅力だった違いが、生活をともにするなかで、少しずつ埋めがたい隔たりへと変わっていく。

本作の切なさは、愛情が冷めたから別れるという単純な話ではないところにあり、相手を大切に思いながらも、自分の信念や生き方を曲げられない悲しさ。

社会や政治の動きが、ふたりの暮らしにまで影を落とすことで、恋愛だけでは乗り越えられない現実が浮かび上がっていく。

ストライサンドが演じるケイティは、強気な言葉の奥に、愛する人に受け入れてほしいという繊細な気持ちを抱えている。一方、レッドフォードは、ハベルのまぶしい魅力と、厳しい対立を避けようとする弱さを自然に表現。どちらか一方を責められないからこそ、ふたりのすれ違いが胸に残る。

監督はシドニー・ポラック。ストライサンドが歌う主題歌が、過ぎ去った日々の輝きと取り戻せない時間を包み込みこむ。アカデミー作曲賞、歌曲賞を受賞。恋の幸福だけでなく、別れた後にも残り続ける思いを味わう、余韻の深い一本だ。

【NHKプレミアムシネマ/放送日と作品情報】
放送日時:BSP4K 11月3日(火)午後1:00〜午後3:00
上映時間:2時間00分

原題:THE WAY WE WERE (1973年・アメリカ)
監督:シドニー・ポラック
原作・脚本:アーサー・ローレンツ
撮影:ハリー・ストラドリング・ジュニア
音楽:マービン・ハムリッシュ
出演:バーブラ・ストライサンド、ロバート・レッドフォード、パトリック・オニール ほか

戦火の馬(2011)

【作品紹介】
”戦場に引き裂かれても、消えなかった少年と馬の絆”

スティーブン・スピルバーグ監督が、第1次世界大戦を背景に、少年と一頭の馬の絆を描いた感動作。戦争によって引き離されたふたりの運命をたどりながら、過酷な状況でも失われない思いやりと、生き抜こうとする力を映し出す。

イギリスの貧しい農家に暮らす少年アルバートは、父が競売で買ってきた美しい馬をジョーイと名づけ、大切に育てていた。

初めは農作業に向かないと思われたジョーイも、アルバートとの信頼を深め、ともに困難を乗り越えるが、第1次世界大戦の勃発によって、その日々は一変。

ジョーイは軍馬として売られ、フランスの戦地へ送られる。(辛い)

物語は、ジョーイが出会う人々へと視点を移しながら進む。それぞれの立場で戦争に巻き込まれた人々が、一頭の馬を通してつながっていく。その積み重ねが、戦争を遠い歴史ではなく、日常を奪われた命の物語として感じさせる作品。

言葉を話せないジョーイのまなざしや動きが、人間の優しさも残酷さも静かに浮かび上がらせるところが印象的だった。

見どころは、美しい田園風景と過酷な戦場の対比、そしてジョーイの存在感。戦場を駆け抜ける姿には息をのむが、その勇ましさとともに、戦争に利用される動物の痛ましさも伝わってくる。

一方、アルバートもジョーイとの再会を願い、前線へ。離れていても相手を忘れない思いが、物語を支えていた。

少年と馬の友情を入り口に、敵味方の区別を超えた人間性を問いかける作品。再会を願う気持ちに寄り添いながら、命の尊さが胸に残る一本でした。

【NHKプレミアムシネマ/放送日と作品情報】
放送日時:11月4日(水)午後1:00〜午後3:28
上映時間:2時間28分

原題:WAR HORSE (2011年・アメリカ)
製作・監督:スティーブン・スピルバーグ
原作:マイケル・モーパーゴ
脚本:リー・ホール、リチャード・カーティス
撮影:ヤヌス・カミンスキー
音楽:ジョン・ウィリアムズ
出演:ジェレミー・アーバイン、エミリー・ワトソン、デビッド・シューリス、ベネディクト・カンバーバッチ ほか

女相続人(1494)

【作品紹介】
”愛を求めた娘が、父と恋人の間で知ったもの”

オリビア・デ・ハビランドがアカデミー主演女優賞を受賞した、ウィリアム・ワイラー監督の文芸ドラマ。ヘンリー・ジェームズの小説をもとに、裕福な家庭に育った娘と、その父、そして恋人の関係を通して、愛情と財産が絡み合う人間の心を描く。

裕福な医師の娘キャサリンは、内気で、自分に自信を持てない女性。そんな彼女の前に現れたのが、モンゴメリー・クリフト演じる魅力的な青年モリス。

優しい言葉をかけられ、恋する喜びを知ったキャサリンは、彼との結婚を願うようになるが、父は、モリスの目的は娘の財産だと考え、ふたりの関係に強く反対する。娘を守ろうとする父の言葉には、娘自身を認めようとしない冷たさもにじんでいく。


一方、モリスの優しさは、どこまで信じられるのじゃ。キャサリンが求めているのは、自分をひとりの女性として愛してくれる相手。その切実な願いが、父への反発と恋人への信頼を強め、駆け落ちの決意へとつながっていく。

見どころは、キャサリンの心の変化を丁寧に表現したデ・ハビランドの演技。ためらいがちな話し方や視線、相手の言葉を待つ表情から、愛情に飢えた彼女の孤独が伝わってくる。

そして、経験を重ねるにつれて変わっていく声や態度が、物語に緊張感を与える。クリフトの甘い魅力も、恋人の真意を簡単には判断させない。

華やかな恋の行方を追ううちに、誰の言葉を信じ、自分の人生をどう選ぶかが問われてくる。アカデミー賞4部門に輝いた本作は、愛を求める心の危うさと、傷ついた人間の変化が胸に残る一本。

【NHKプレミアムシネマ/放送日と作品情報】
放送日時:11月5日(木)午後1:00〜午後2:56
上映時間:1時間56分

原題:THE HEIRESS (1949年・アメリカ)
製作・監督:ウィリアム・ワイラー
原作:ヘンリー・ジェームズ
脚本:ルース・ゲーツ、オーガスタス・ゲーツ
撮影:レオ・トーヴァー
音楽:アーロン・コープランド
出演:オリビア・デ・ハビランド、モンゴメリー・クリフト、ラルフ・リチャードソン ほか

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