
原題:The Black Dahlia 製作国:アメリカ 製作年:2006年 上映時間:121分
ハリウッドという街が抱え込んだ闇を描くノワール。
作品解説・コメント
実在の未解決事件「ブラック・ダリア事件」を題材に、戦後ロサンゼルスの闇を描いたブライアン・デ・パルマ監督作。
猟奇事件の捜査を軸にしながら、物語は次第に欲望、嫉妬、虚栄といった人間の内面へと踏み込んでいく。映像面の完成度はさすがで、構図やカメラワーク、美術、衣装に至るまでノワール映画への強い愛情が感じられる。
一方で、人間関係や展開はかなり複雑で、説明不足に思える場面も多い。物語の分かりにくさや感情移入のしづらさは、正直なところ好みが分かれる部分だろう。
見どころとしては、事件の謎解きそのものよりも、戦後ロサンゼルスの空気と、そこに染みついた虚像の匂いをどう描いているかにある。
デ・パルマらしい計算された画づくりと、陰影の強い映像が、登場人物たちの心の濁りまで映し出してくる。
また、捜査が進むにつれて人間関係が少しずつ壊れていく過程も印象的だった。
事件を追っているはずが、いつの間にか自分たち自身が追い詰められていく。その歪みの中で放たれるスカーレット・ヨハンソンの危うい存在感も、この映画ならではの見どころになっている。
動画とあらすじ
《あらすじ》
共にボクサーとしての経歴を持つロサンジェルス市警の名物コンビ、バッキー・ブライカートとリー・ブランチャード。リーには美しい同棲相手ケイ・レイクがいたが、いつしか彼らは3人で行動を共にするようになっていた。
そんなある日、腰から切断された若い女性の死体が発見される。やがて被害者の身元が、女優を目指してマサチューセッツからやって来たエリザベス・ショートという女性と判明する。
マスコミは彼女を“ブラック・ダリア”と呼び大きく報じる。一方リーは、この事件に異常なほどの執着を見せ、ケイとの時間さえ惜しむほど捜査に夢中になっていく…。
作品データと豆知識
原作:ジェームズ・エルロイ『ブラック・ダリア』(文春文庫刊)
『ブラック・ダリア』は、派手な展開や分かりやすいカタルシスを求めると肩透かしを食らう作品だ。物語の分かりにくさや感情の掴みにくさは確かに弱点で、決して万人向けではない。
ただ、戦後アメリカの病理や、ハリウッドという街の虚像を描いたノワール映画として見ると、その居心地の悪さがじわじわ効いてくる。
正直、気持ちよくは終われへん。けどな、この後味の悪さこそが、この映画の正体やと思う。
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